自治振興会交付金の見直し

交付金を活用し開催している北日野地区の体育祭

「地域のことは地域でー」越前市の地域自治を支える市からの交付金について、一層と地域の自治が推進できるよう次のとおり、答申しました。

これは、越前市自治連合会から、令和3年5月26日に越前市自治連合会 幹事会( 代表幹事 土田信義 )に諮問をうけ 、各地区のご議論をいただき、幹事会でまとめ、令和3年11月19日に答申したものです。 内容は、次の通りです。

1 はじめに

越前市は、合併前の旧町村単位を基に17の小学校区がある。この地区ごとに従前からの自治が存在しており、体育祭や文化祭などの催し物も開催され地域のコミニティを形成している。この地区ごとに、地域自治振興事業が実施され、均等割り・人口割・面積割等により、市から交付金として支出されている。

かつては、恒例のイベントであっても事業ごとに補助金や委託料を市に申請・実績報告等を要していた。さらに、地域の身近な課題の解決については、要望・陳情を要していた。

この交付金制度は、地域の恒例のイベントばかりだけでなく、身近な地域の課題の解決にあたり、いちいち要望陳情や煩雑な事務を要せず一定の財源が移譲され、都市内分権の効果を得ている。

しかし、この交付金について、令和元年度の決算額調査(市民協働課提供)では、人口の一番少ない地区と大きな地区との市民一人当たりの交付金の地区間格差は、7倍(協働事業補助金)となっている。

この格差は、人口の増減により多少拡大しているものの、最近になって急に表れてきたわけではない。今日までに何度も課題とされている。平成27年に、この課題に対し同様に幹事会で検討が行われ、次の通り整理している。

・総会やイベント等の開催にかかる基礎的経費は人口の大小にかかわらず必要、

一人当たりの交付金の格差があるのは当然。人口の少ない地区ならではの工夫をしており、他地区もこれらの取り組みを理解している。

・現状の地域間格差は妥当な範囲と判断。

また、この交付金総額は、市民税の一定額を充当することとしているが、この交付金が、「地域の自治により地域の身近な課題の解決に充当され十分な効果を得ていないのではないか」との指摘があることも看過できない。

 諮問内容

地域自治振興事業交付金の見直し

地域自治振興事業交付金の検討を必要する課題

  • 地域自治振興事業交付金について、市民一人当たりの交付金の地区間格差がある。
  • 同特別事業交付金について、特定の地区の採択に偏っている。事業計画の熟度に偏りがある。また、採択数が多いと、事業費按分されることにより、地域の負担が増える。

3 検討の経緯

諮問の期日 令和3年5月26日 自治連合会幹部会にて、「地域自治振興事業交付金の見直し」を幹事会に諮問

検討の期日 令和3年6月29日 幹事会(第2回)開催 交付金の見直し検討

令和3年7月19日 事務局長会議(第2回)課題共有・意見交換

令和3年8月02日 幹事会(第3回) 素案作成

令和3年8月20日 幹部会へ中間報告

令和3年8月30日 幹事会(第4回) 案修正

令和3年9月24日 事務局長会議(第3回) 上程案を概ね了承(2地区の事務局長から異論あり)

令和3年9月27日 幹事会(第5回) 案の再協議

令和3年9月30日 会長会へ中間報告

令和3年10月12日 事務局部会(オンライン会議)

令和3年10月15日 自治連合会幹部会に中間報告

令和3年10月25日 幹事会(第6回) 

令和3年11月08日 事務局長会議(第4回) 答申案の協議

答申期日  令和3年11月19日 自治連合会幹部会に答申

 交付金の見直しに向けた施策の方向

・平成27年に整理した通りであり、この検討結果に賛同する。

・しかし、何度もこれらのことについて一部の市民や議員から指摘を受けることについては、真摯に対応したい。

・地域の自治の向上と、これからの地域課題の取り組みにつながるよう改定する。

・その見直しの中で、市民一人当たりの地域自治振興事業交付金の地区間格差の減少に努める。

5 地域自治振興事業交付金の見直し方針

地域の自治の向上と、これからの地域課題の取り組みにつながるよう改定する。

・基礎事業 総会や各種会議の開催等、自治振興会の運営に必要不可欠な事業に要する経費が算出されている。交付金の見直し対象とはしない。

・協働事業 見直しの対象とする。

・特別事業 見直しの対象とする。

6 協働事業の見直し内容

①協働事業で均等割り30%、人口割60%、面積割10%と、しているが、この均等割り

30%は、基礎事業の各地区一律交付の150万円と考えが重複している。

この均等割り30%の比率を下げ、この財源を基に、地域自治の向上や新たな課題

への取り組みにつながるよう改定する。

②次の新たな指標を設け、指標のポイントにより①の均等割り30%の比率を下げたことにより生まれた財源を割り振る。(詳細 別添)

  1. 自治の向上につながる仕組み

・自己財源比率の高い地区(25%以上に配慮)

・事務局員設置経費が少ない地区

・特別事業の採択件数(過去5年間の実績)

・事業への年間参加者総数

2.今後の課題に取り組める仕組み

・一定以上の急激な過疎地区 (20年間で30%以上減の地区)(急激な人口・世帯の減少地域に配慮)

・地域福祉の重要性

・高齢化の状況

7 特別事業の見直し内容

①A事業(交付限度額 2か年 150万円)は、単年度ごとの申請(限度額 100万円)に改め、ガイドラインに沿って継続。B事業(交付限度額 単年 20万円)はニーズがないことから、廃止。

②事業計画の熟度が増すように事前に計画概要を市に提出する制度となっている。市の事前チェック体制の活用、事前にヒアリングし、指導できる職員体制の確保、支援員等指導者のスキル向上

③審査は、予算の範囲内で採択。残額が出た場合にのみ、次点の提案地区と協議し、希望があれば採択。事業費按分による地区負担の軽減を図る。

8 付帯意見

① 定期的な地域自治振興事業交付金の検証と見直し

今回、地域の自治の向上と、これからの地域課題の取り組みにつながるよう改定への答申にむけ、協議してきた。この答申にあたり、一部の地区から、見直しの中で、「市民一人当たりの地域自治振興事業交付金の地区間格差の減少に努めたこと」について、異論があった。つまり、地区間格差の減少を意図せずに「地域の自治の向上と、これからの地域課題の取り組みにつながる」視点での改定が望まれた。ついては、3~5年程度を目安に再度検討をお願いしたい。

②地域自治の尊重

平成31年2月開催の自治連合会発足10週年記念事業講演会で、講師の大森彌(おおもりわたる・東京大学名誉教授・自治体行政学・地域づくり)先生から、越前市自治連合会は組織加入率が極めて高く、それぞれ、よくやっている旨ほめていただいた。しかし、それ故に、今後、「行政から都合よくつかわれること」を危惧した。

「都合よく使われることが続くと、自治は衰退し役員のなり手がなくなっていく」とのこと。

最近、この行政の下請けが危惧される。連合会より、市に対して地域自治の尊重についてご理解への促しをお願いしたい。

③ 自治振興会活動への誉の形成にむけて

自治振興会ができ、早い所では18年経過。この間、役員や部長を永年担い、地域自治に貢献している方が存在。区長の永年表彰に準じ、連合会から市に表彰制度設立をお願いしたい。

④ 市職員が、一住民としての自治振興会をはじめとした地域活動の役を担う一人一役運動について

かつては、市が市職員を対象に一住民として地域の一役を担う運動を進めていた。職員にとっても、住民にとっても齟齬がなくなりハッピーになれる制度。連合会から市に推進を促したい。

⑤ 地域のできること、市が実施することの見直し

例えば、地域の環境美化活動として、河川一斉清掃をしてきたが、参加者の高齢化や、機械草払いが主流になり危険など、従前の地域住民総出席のやり方では困難となっている。

また、市道の狭隘道路の除雪については、地域が主体で除雪を担うこととし、市の除雪単価と同額の交付金を受理し除雪しているが、その多くは、市が除雪作業を委託契約している事業所に委託している。市はこの事業所への支払いを除雪作業に要した時間で支払っていることから、一部には、市と地域との二重の支払いへの懸念まで出ている。ついては、これらの路線は、市から一括して発注されたい。住民主体で除雪している路線は、引き続き地域にゆだねられたい。

あわせて、防災や地域福祉の役割など、時代の経過とともに気象状況や人口構成が変化しており、地域の役割、市が実施することの見直しをしていただきたい。

⑥ ナイター照明等市の付属施設の管理について

各地区の小学校校庭等のナイター照明設備について、設置は市で、運営は地区を散見。現在の水銀灯はLEDに変更を余儀なくされている。

合わせて、条例の位置づけがないまま料金徴収しており、課題がある。市への対応を依頼願いたい。

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