食の安全・食の「量」「質」は大丈夫?

パン食はアメリカ、ごはん食は日本の農業をまもる。体験を通じて学ぶ「ごはん塾」

私たちの食卓から食べ物がなくなってしまうのではないか―。この心配は大きく次の4つからです。①ロシアによるウクライナ侵攻です。穀物価格が高騰しました。②世界的な異常気象です。これが常態化し、世界的に食料が安定して生産されなくなってきています。③中国の食料の爆買です。日本は、買い負けしています。お金を出せば食料が買える時代ではなくなってきたのです。④世界人口の増加です。

国連の資料によると、世界の人口は、2060年に100億人を超える見通しです。次の図②ですが、人口の増加に伴い、穀物消費量が増加していますが、農地は増えていません。今後が心配されています。食糧難・飢餓、万が一にでもそうした事態を避けるため、日本農業にとって重要な法律が改正される見通しです。重要な法律とは「食料・農業・農村基本法」です。政府は、この重要法案を、来年の通常国会へ提出し、改正を目指しています。今回の改正のキーワードは、この食糧問題、つまり「食の安全保障」です。ポイントが2つあります。一つは、「不測」事態になった場合の生産体制の強化です。もう一つが、肥料に代表される、国産資材の確保を進めることです。土田のぶよしは、まず、「食の量について」取り上げます。

農林水産省が公表している「日本と、諸外国の食料自給率」です。先進国の中で、日本は群を抜いて低いことがわかります。日本の食料自給率は、カロリーベースで38%です。福井県の食料自給率は、同 65%です。福井県は、コシヒカリを開発し全国のコメ作りをリードしてきた県で、農業の米作りが得意な県です。福井県の食料自給率は、100%に近いのかと思っていたら、65%とのことです。越前市の食料自給率は、私の試算によると、計算式に農業センサスの数値を当て込みざっと計算してみると、50%台です。全国よりは高いが、福井県の自給率には及ばない、ところかと算出されます。

主要国の農産物の平均関税率です。日本の農産物の関税が高いというのは、過去の話で、現在では誤りです。日本は、農産物の自由貿易の優等生です。そのために、諸外国からたくさんの農産物が入ってきています。そして食料自給率が低下しています。次に、フードマイレージの視点から、食糧問題を見ます。

農林水産省が出している資料です。アメリカから日本までの輸送経路の仮定を示しています。輸送経路と距離の概念図です。輸入食料に係るフード・マイレージの比較です。フードマイレージとは、食料の輸送量(t)に、輸送距離(km)を掛け合わせた指標です。この数字が高いほど、「食」と「農」に距離があり、食糧の輸送が、地球環境に与える負荷が高いことを示しています。つまり、フードマイレージの大小により、その食料の、地球環境に与える負荷を把握できます。日本は、フードマイレージがとても高いこと、つまり、食料の輸入により、地球環境に大きな負荷をかけていることがわかります。政府では、令和6年度予算編成にあたり、増税してでも防衛費は、5年で43兆円に増やし、経済制裁の強化とともに、敵地攻撃能力を強化する旨、議論しています。しかし、一方では、「食料は武器、標的は日本」ともいわれています。つまり、「兵糧攻め」で、日本は、飢餓と餓死です。私たちの命の根源は、食です。トマホークを買うより、何よりも身近な「食」をになう生産農家への支援が大切だ との視点から活動させていただきます。

次に「食の質の確保について」に移ります。食料の「量」が確保できないのに、食料の「質」について選べません。食料の「量」の確保の懸念の中、自由貿易化を背景に劣化した食物が、身の回りに急激に増えています。日本が食料を大量に輸入しているアメリカやカナダでは、例えば大豆を例にとると、収穫前に、除草剤のグリホサートを散布しています。グリホサートは、有効成分名で、商品名で有名なのが、ラウンドアップです。

グリホサホートが主成分のラウンドアップ

昨年9月26日に新聞報道があった、越前市のビックモーター店舗前の街路樹の枯れ死した土壌検査で検出した除草剤の有効成分が、このグリホサートです。グリホサートを有効成分としたラウンドドアップは、越前市のホームセンターでも、普通に大量に販売されています。しかし、日本では、作物には散布しません。除草剤であり、作物が枯れてしまうからです。なぜ、アメリカでは、大豆の収穫前に除草剤をまくのでしょう。除草剤をまいても枯れない遺伝子を組み換えされた大豆の種をまき、収穫前に一斉にラウンドアップを散布し、雑草を枯らし、収穫しやすくしているのです。大豆の実の習熟度も増すそうです。しかし、収穫前に除草剤ラウンドアップを散布すると、除草剤の有効成分グリホサートが大豆に残留してしまいます。この大豆を食しても大丈夫なのでしょうか。

映画 「食の安全を守る人々」から転用

2015年、WHO(世界保健機構)の外郭団体IARC(国際がん研究機関)は、 グリホサートを「人に対しておそらく発がん性がある」項に分類しています。さらに、グリホサートをめぐる裁判が、アメリカのカリフォルニア州で起こりました。2018年です。裁判所はグリホサートは発がん性を持っていることを正式に認め、販売する多国籍企業のバイエル社(モンサント社を2018年に買収)には、320億円もの損害賠償を命じました。各国では、消費者の懸念が高まり、多くの国で規制が強化されました。中国でも、残留基準を強化しています。 さらに、グリホサートの使用の禁止を決めた国もあります。フランス、ルクセンブルク、ドイツです。当のアメリカでも2023年から一般消費者向けの販売が停止されたとのことです。一方、日本ではどうでしょう。日本は、世界の動きに逆こうしています。2017年、厚労省は、逆に、グリホサートの残留基準値を大幅に緩和しています。大豆は、2ppmから5ppmに。小麦は、5ppmから30ppmに。トウモロコシは、1ppmから5ppmに。そばは0.2ppmから30ppmになどです。

さらに、日本では、2023年4月より、消費者庁が、遺伝子組み換え食品の表示ルールを「厳格化」しました。結果的に国内生産の食品のほとんどが、「遺伝子組み換えではない」との表示が出来なくなっています。従前は5%未満であれば表示できたが、厳格化されると、日本では、食品には、油をはじめ、味噌、醤油などの調味料にも外国産農産物が入っており、証明が困難となり「遺伝子組み換えではない」との表示が、そう簡単には、出来ないそうです。

このルール変更は、実質的にグリホサートの残った遺伝子組み換え作物の輸入を促しているといわれています。日本の食の安全神話はどうなったのでしょう。自由貿易化を背景に劣化した食物が、私たちの身の回りに急激に増えています。

かつては、日本の農業は「手厚い保護」の中、甘やさされているなどと、言われてきましたが、今日では、全く違います。それぞれの国の保護と助成をうけ、安価で生産できる諸外国の農産物に圧倒され、厳しい状況の中、何とか生産できているのが現状です。地域農業を支援し、食の「量」と「質」を守る取り組みは大切です。土田のぶよしは、今後も地域農業を大切に守り支援します。

目次