決算審査を次年度予算に活かす 政策サイクル

越前市議会 政策サイクル

越前市議会では、決算審査を次年度予算に活かす「政策サイクル」の仕組みづくりをし、本年度から試行を始めました。各委員会ごとに、決算審査時のテーマをしぼり、議員間の意見から論点を整理し、市長に①事業の廃止、②事業の縮小、③事業の拡大を提案し、次年度予算審議と連動させようとするものです。令和6年度から本格的にスタートの予定です。本年度は、次の3つの事業について提言しました。①教育・厚生委員会では、地域ネットワーク活動事業・重層的支援体制整備事業。②産業建設委員会では、森林環境譲与税基金事業、③総務委員会では、自治振興事業(行政協力交付金)です。

令和6年度から課税されるる森林環境税と森林環境譲与税の仕組み

土田のぶよしは、産業建設委員会の副委員長として、森林環境譲与税基金事業について提言しました。「森林環境税」は、令和6年度から、国税として1人年額1,000円を市町村が賦課徴収するものです。「森林環境譲与税」は、市町村による森林整備の財源として、令和元年度から、市町村と都道府県に対して、私有林人工林面積、林業就業者数及び人口による客観的な基準で按分して譲与されています。

大雨による土石流(帆山町)

森林のもつ役割はたくさんあります。①水を蓄え水害を防ぐこと。②土砂崩れを防ぐこと。③二酸化炭素を吸収し、地球温暖化を防ぐこと。④生き物のすみかや生態系を守ること。⑤音や風などを防ぎ、快適な生活環境を作ること。⑥健康増進や気分転換に効果的な「保健・レクリエーション機能」、⑦「森林浴」や「キャンプ」「山登り」といった行楽・芸術の対象としての「文化・教育機能」⑧木材やキノコなどを生み出す「物質生産機能」です。これらの役割を発揮するためには、適切な森林整備や計画的な森林資源の利用が不可欠です。しかし、管理が不十分な森林や所有者や境界が分からない森林の増加、担い手の不足等が大きな課題となっています。

山際の危険樹木の伐採(帆山町)

本市においては、森林環境譲与税について、森林の環境保全について喫緊の課題が多いにもかかわらず、基金に繰り入れられてきました。昨年の決算審査時にも委員から課題解決に十分に活用されていないことが挙げられ、継続審議としてきました。今年度は、林業事業者や森林組合との協議や、越前市総合計画2023に示す「楽しい居場所プロジェクト」の整備方針も尊重し提言に向け、委員間討議を深めてきました。以上の経緯により、以下の提言を行いました。

里山への山道の整備(帆山町)

森林環境譲与税の使途については、市の判断により、森林の整備など幅広い事業に活用可能となっています。令和6年度より森林環境税が全市民に賦課され、市民の森林環境への関心が一層高まることが予想されます。今後は、新たに森林環境譲与税を基金に積み立てず、以下の事項に、活用を提言しました。①小規模森林間伐促進事業の補助を拡大し、不用木撤去は、電線電話線のライフラインの有無にかかわらず、公道に台風などで倒木する恐れがある森林樹木を対象とすること。②林道の維持保全活動の補助対象を拡大すること。③里山林や竹林の整備と保全、鳥獣害対策などのため、作業道(軽トラックが走行できる程度の山道)の整備、維持補修費用に対して補助を行うこと。④ 本事業の啓発のため、多くの市民が親しみやすい箇所を選定し、モデル事業として整備すること。以上です。

孟宗竹等のウッドチッパーでの処理
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