2025年12月、ユネスコの無形文化遺産「和紙 日本の 手漉(てすき) 和紙技術」に、「越前鳥の 子紙 」が追加登録されました。 越前鳥の子紙は、越前市に伝わる最高級の手漉き和紙で、きめ細かな紙肌や優れた耐久性が特長です。この産地は、越前市東部の五箇地区です。

越前和紙の紙すきの歴史は古く、約1500年の紙すきの歴史があります。正倉院文書の中には、越前が紙および製紙原料である「がんぴ」や「コウゾ」を生産する国であると記されています。
五箇地区では、奈良時代には、仏教が盛んになり、仏教を広めるのに必要な写経用紙を漉いていました。
平安時代の貴族たちは、文字の美しさだけでなく、書写材料としての紙の質や装飾にもこだわり、特に「越前鳥の子紙」は、最上級の紙として重宝されました。その緻密で滑らかな紙質、美しい光沢、そして虫害に強く長期保存に適しているからです。和歌や漢詩を書くための装飾料紙、絵巻物などに幅広く使用されました。
「越前鳥の子紙」は、紫式部の洗練された源氏物語の執筆活動を支える不可欠な素材だったのかもしれません。現代に至るまで和紙の最高峰の一つとしてその名を知られています。

技術の保存、継承に取り組む「越前生漉(きずき)鳥の子紙保存会」の柳瀨晴夫会長はユネスコの文化遺産登録を喜び、「この素晴らしい和紙、その技術を担う次の世代を育てることを目標にさらに頑張りたい」と、語ります。

さらに、柳瀨晴夫会長は、お話してくださいました。ガンピ(雁皮)は、樹皮の繊維がきめ細かく、「鳥の子紙」などの高級和紙の原料となる。しかし、原料自体がなかなか手に入らなくなってきた。繊維は楮(こうぞ)の3分の1程度と短く、その繊維質は優美で光沢がある。なめらかで、半透明。しかも粘性があり引き締まった紙質となる。などです。
辻英之衆議院議員は、衆議院文部科学委員会にて越前鳥の子紙のユネスコ無形文化遺産登録にあたり、保存継承に向けた国の支援を求めてくださいました。

